私のこと愛しすぎだよ、結多くん。
目の前が一瞬、影に覆われたと思っていたら。
じつはそれは結多くんの腕で、私の後頭部に回ったその腕にぐいっと引かれて、痛みはない優しさでおでこ同士がぶつかった。
「ゆいた、くん」
どうしよう。
逸らせない、かも……。
あ……、これ…、あのときに似てる。
夏休み前の学校行事、スタンプラリー。
私は熱を出しちゃって、結多くんと東屋にいて、なぞの幽体離脱を体験した結多くん。
「そんなエロい顔ばっかしてたらね、世界イチ都合いい無意識発動させて拐って帰るぞこのやろう」
そう、こんなふうに男の子になるの。
楽しくて賑やかな人気者さんが、ちょっとだけ乱暴で余裕がなくて、強引になる。
「っ!」
────と、まぶしいくらいのヘッドライト。
「このみ……!」
「きゃっ…!」