私のこと愛しすぎだよ、結多くん。
「だってあたしの弟でもあるユイが選んだ子ってことは、ぜったい天使で良い子に決まってるもんね~」
「……水篠 莉帆(みずしの りほ)さん、あなたは人間国宝なのですか。
今まで完全なるアレにしか見えなかったそのお団子ヘアがいよいよお釈迦様の頭にしか見えなくなってきました」
「…喜んでいーのそれ」
「もちろんじゃん」
「あっ、そうだ!この際ユイをモデルにした物語とか書いてみよっかなー。“俺に愛されすぎてよ、ココミちゃん”ってなタイトルはどう?」
………あ、このひと。
書いてんだな中高生向けのケータイ小説的なの。
だからあんな赤裸々に愚痴ってたのか。
なるほど納得。
「…ふつーにやめて。それサブタイトルにして本タイトルは“私のこと愛しすぎだよ、ユータくん”的なのでいつか俺が書いてやっから。さすがに主人公は天使さんなのよ、あの子の可愛さは俺がいちばん分かってる」
「………あんたガチじゃん」
「おう。このみちゃんを前にした俺はいつだってガッチガチだわ」
「は?」
「よっしゃなんか元気でた!ありがと姉ちゃん!!持つべきものは姉に限るぜ、とか言ってたら腹へった~」
呆れたようにホッとしたように笑った姉の顔が、ああ俺と似てんなって。
なんだかんだ遺伝子えげつねえなって思った結多でした。