私のこと愛しすぎだよ、結多くん。
はい、本当に申し訳ございませんでした。
消えそうな消えそうな声は、たとえ聞こえていたとしてもあの人は振り向きもしないんだろう。
「朝比奈さん、レジ変わって。廃棄チェックと品出し行ける?」
「……ごめんなさい」
「俺も気持ち分かるから。切り替えていこう」
「……はい」
繰り返しちゃだめ。
同じ失敗を繰り返すことだけは、だめ。
言い聞かせるぶんだけ、あと数分したら自分はまたやっちゃうんじゃないかって、またあんな目を向けられるんじゃないかって。
なんかもう、逃げてしまいたくなった。
「っ…、なんで…」
どこに落としてきちゃったの。
あれは常にポケットに入れてないとダメなものだって、これも何度目なの私。
家中を探しても、学校の引き出しのなかも、服やバッグ、考えられるところすべて見つからなくて。
テストであんな点数、バイトでも失敗ばかりで迷惑をかけた。
お願いだから“仕方ない”は、もう戻ってこないで。