私のこと愛しすぎだよ、結多くん。
谷さんにも迷惑かけてごめんなさいって謝らなくちゃ…。
「あっ…、ごっ、ごめんなさい…っ」
「いいいっ、いえ…!」
なんとか乗り越えたバイト終わり、ちょうど自動ドアを出たところで向かい側から来ていた人にぶつかる。
チャリンチャリンと落ちた小銭。
もう……、
これ以上の失敗は増やしたくなかったのに…。
「本当にごめんなさい…、これで全部ですか…?」
「はははっ、はい…」
黒いダウンジャケットに黒いキャスケットを深く被った中肉中背の男性は、私から小銭を受け取ってそそくさとコンビニ内へ。
「……いない、よね」
入り口を見渡してみても太陽みたいな笑顔はなくて、きっと私が落としちゃったから怒ってるんだと。
今日も伊藤さんと楽しそうにしていた。
私は伊右衛門丸くんとそこまで話してないよ。
いつも伊藤さんいいなあ…って思いながら、声だけ聞いてる。