私のこと愛しすぎだよ、結多くん。
明るくて賑やかで楽しくて、差別なんか絶対しないひと。
目立たないクラスメイトにも分け隔てなく声をかけてくれて、笑顔をくれる。
独り占めしたいなんて、思っちゃダメなんだよこのみ。
「なら俺から言うね」
「え…?」
「いーかもう。本当はいざってとき格好つけたかったけど……このみちゃんをそんな顔にさせるくらいなら躊躇う理由もねえわ消え去れシリアス」
私の下がりかけた視線が、戻った。
まるでずっとずっと空高くに輝いていた太陽が、地面を這う蟻に近づいてきてくれたみたいな。
その蟻ただひとりのために、太陽さんが自らやって来てくれたような。
そんな眼差しだった。
「俺ね、きみを守るために実はティーチャーに柔道───」
「ゆい、た……?」
住宅地へとつづく商店街。
この時間であればシャッターが多いなか、飲食店や学生が通う塾は明かりがついていた。
ひとつのビルの一角、他校の制服を着たとても可愛い女の子は結多くんの言葉を止めてくる。