私のこと愛しすぎだよ、結多くん。
「ゆっ、ゆいたくん…!すごく危ないこと言ってたよ……!」
「へっ?……え?俺……なんか、言った…?」
「しっ、しばっ、しば…っ」
「芝?」
まさか………気づいて、ない……?
自分が言った言葉、理解してない…?
本気で首を傾けるクラスメイトを前にすると、どこか力が抜けそうだった。
「……ううん。…なんでも、ない、です」
「そ?………くっそ、無意識作戦ダメか」
ボソッと、そんなことをつぶやいていたとも知らずに。
「ゆ、結多くん……、そろそろあたま…」
「このみちゃんはN極、俺はS極。説明しなくても分かりますねつまり俺たちは大事な部分も隙間なく合体するべき───」
「おーいお前らまだ残ってんのか?部活じゃないなら帰る、下校チャイム鳴ったぞ」
「タイミング神かよゼウスかよ」
彼は誰に対しても分け隔てなく接することができるひと。
だから今のこれだって、その一環だよこのみ。
「………えっ……、彼女になって、って…言ってた……?」
それからお家に帰って、ご飯を食べて。
お風呂に入って、湯船に浸かってぶくぶくと泡を作ったとき。
そこで私は、結多くんそんなことも言ってたなあ……と、思い出す。