私のこと愛しすぎだよ、結多くん。




身長が高めなこと。

それは私のコンプレックスのひとつでもあった。


160センチを超えてしまった、私の身長。


前回の身体測定ではどれくらいだったかな…。

ああそうだ、思い出した。
161センチもあったの。



「結多くん、明日からはちゃんと教科書持ってきてね」


「……このみちゃん?」


「全教科は私も……困るから。忘れてきたら、だめだよ」


「…………」



緊張して話せなかったとき以来かも。

結多くんの目を見ることすらできなかったのは。


このあとの授業は体育の実技。
教科書はちょうど使わない。

クラスメイトたちが着替えに向かうタイミングで、静かに伝えた。



「……ねえ、このみちゃん…、わたしたち今、どこに向かってるの…かな」


「…更衣室、だよ」


「そ、そうだよね…?なんかね……ついてくるよ、」



水篠くん───と。

とうとう隣を歩くお友達が耐えられなくなっては、言葉に出す。



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