私のこと愛しすぎだよ、結多くん。




彼はどこまでついてくる気だ。

まだ着替えていないみたいだから、あなたは逆方向に向かうべきだと思うのに。


こっち……女子更衣室だよ…?



「穂乃花ちゃん、私ちょっと…トイレ寄ってくね」


「う、うん、先に行ってるね…このみちゃん」



賭けに、出てみる。

ふたてに分かれれば、彼の目的が明確にできるんじゃないかと思った。


穂乃花ちゃんのほうへついて行ったならば、本当に結多くんは女子更衣室を覗きたかったということ。


けれど、反対に私のほうについて来たならば。

さっき言ってしまった言葉に、怒っているということ。



「っ、きゃーーー!!!」


「まてまてまてっ!!悲鳴はキツい!!この構図かんっぜんに俺がただの不審者になってねえ…!?」



やっぱり私だ……!!


穂乃花ちゃんと離れて階段を降りてからつい怖くなって走っちゃったここは、美術室付近の廊下。

普段から生徒の通りも少なく、比較的静かなところ。



< 32 / 261 >

この作品をシェア

pagetop