私のこと愛しすぎだよ、結多くん。
え?俺ともなれば無意識とか作るレベルだから。
ヒソヒソと慎ましやかに友達とお話していた朝。
ちょうど登校してきたらしい、初めての席替えで隣同士になった男子生徒───水篠 結多(みずしの ゆいた)くん。
「お、おはよう結多くん…」
「おはよう天使。おっとやべえ心の声が。おはよ、このみちゃん」
ちょっとだけ、変わった男の子。
隣同士になってからしばらくのあいだは(約2週間ほど)、私の人見知りが炸裂してしまって話せなかったものの。
少しずつ挨拶を交わすことから始まって、他愛ない会話に笑顔を見せられるくらいには慣れたところで。
今度は彼からぐいぐいと、今日のように混ざってこられたり……する。
これが私───朝比奈 このみ(あさひな このみ)の、最近の朝。
「で、どうぞどうぞ続けて?俺ほんと邪魔なんかしないから。いい子にしとくから。
あっ、なんだったらイヤホンしとくよ。これね、これ。はいもう聞こえませーん」
「ゆ、ゆいたくん」
「ん?なあに?」