私のこと愛しすぎだよ、結多くん。
「リスよりキツネが好き」
リスもキツネも登場していない、スケッチブック。
描いたほうがいいのかなって筆を持とうとした私に「このみちゃん」と、甘い音色を落として、なぜか目を合わせてくる。
「アイドルよりはモデルさん派」
「そ、そうなんだ…」
「ダンゼン胸より足なんだ結多は。あわよくば蹴られたい踏まれたい」
「…………」
な、なんか。
なにを知らされてるんだろうって、ここで分からなくなってきちゃった…。
とりあえずうなずいておけばなんとかなるかなって、コクンと実行してみる。
「だから、俺は好き。むしろ俺だけが好きでいーよ」
「………」
「あっ、念のためもう1回言っとくね?俺はすげえ好きだよ。まじで好き」
結果、1回じゃなく2回言った結多くん。
どうしてそんなに見てくるんだろう。
私を、見てくるんだろう。
耐えられなくなって、パッと視線を逸らす。