私のこと愛しすぎだよ、結多くん。




お日さまというより、日だまりかもしれない。


どんなに周りがどしゃ降りだったとしても、そこに行けばあたたかい。

心がぽかぽかする。

だから結多くんと関わる人はみんな、だれだとしても、笑顔になれる。


少しでも伝わればいい。
今もありがとうって、少しでも。


しかし、そうではないのが結多くんなのだ。



「待ってこのみちゃん。……俺ってそんなに聖人君子もどきに見える?」


「へ…?も、もどき…?」


「あ、正確に言うと。たとえば気になってる子を前にしても“性的には見てない”とかほざく、そんなクソみたいなムッツリ野郎に見えてる?」



えっと、えっと。

スケッチブックに描かれた“森の可愛すぎるくまさん”に視線を落として、聞こえないふり。



「俺、思うんだよ。思うんだよ俺。明らかにそーいう目で見てんのに“見てない”って言い張るほうが卑猥(ひわい)だって無理ありすぎだろって。ねっ、このみちゃん」


「は、はい…?」


「だから俺は言うよ。だいたい俺は物心がついた3歳あたりの頃から隠さねえオープンワールドだから言う。ねっ、このみちゃん」



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