私のこと愛しすぎだよ、結多くん。
「体育は俺のいちばん好きな科目。これだけは皆勤賞って小学生のときから決めてたりして。…でも、そんなこと考えもしてなかったよ今日」
だから、こんなふうに伝えてくるんだ。
ドキ、ドキ、ドキン。
手が震えて、なかなか上手く洗えない。
「先生…、怒ってるよね」
「安心したまえよ。なにがなんでもこのみちゃんだけは守る結多だから」
それから結多くんは。
その日のグラウンド整備を受け持ったペナルティひとつで、どうにか誤魔化して先生をも友達にしてしまった。
気の毒だったな、朝比奈───と、
なにがなんだか分からないまま先生に同情された挙げ句、褒められてしまった私。
「ん…?このみちゃん、なにかポッケから出てるよ…?」
「あっ、ポケットティッシュ…だよ」
結多くんが必死に筆を修理しているとき。
スケッチブックに描いた絵を切り取って、大切に折り畳んでポケットに入れた。
これさえあれば、どんなことがあっても毎日がんばれる気がするの。