私のこと愛しすぎだよ、結多くん。
ううん、可哀想なんかじゃないよ。
まだお互いに慣れてないだけだよ。
きっとこのイベントで荒井さんとも近づけるはずだから。
───なんて、意気込んではいたけれど。
「はいはーい、んじゃあ俺たちカレー係やりまーす。これ、野菜と肉ね。隣の班から奪ってきたから」
ぽんっと、背中を押してくれる声。
さっきまで虫と戯れていた彼は、同じ班の男子と具材を連れて戻ってきた。
「……結多くん、隣の班からはだめだよ」
ニッと、どんな氷も溶かしてしまう笑顔。
私の隣に立たれて改めて、身長差を感じた。
「だから委員長はこのみちゃんと米ね」
「え、いや、カレーのほうは私が…!」
「包丁なんて危ないもん女の子に使わせられるかよ。…って、野口(のぐち)がクソ格好いいこと言っててさー」
「は!?オレそんなこと言ってね───、おいっ、なんだよ結多…!」
「なっ、な?なあ???」
「……おう」