私のこと愛しすぎだよ、結多くん。




ううん、可哀想なんかじゃないよ。
まだお互いに慣れてないだけだよ。

きっとこのイベントで荒井さんとも近づけるはずだから。


───なんて、意気込んではいたけれど。



「はいはーい、んじゃあ俺たちカレー係やりまーす。これ、野菜と肉ね。隣の班から奪ってきたから」



ぽんっと、背中を押してくれる声。

さっきまで虫と戯れていた彼は、同じ班の男子と具材を連れて戻ってきた。



「……結多くん、隣の班からはだめだよ」



ニッと、どんな氷も溶かしてしまう笑顔。

私の隣に立たれて改めて、身長差を感じた。



「だから委員長はこのみちゃんと米ね」


「え、いや、カレーのほうは私が…!」


「包丁なんて危ないもん女の子に使わせられるかよ。…って、野口(のぐち)がクソ格好いいこと言っててさー」


「は!?オレそんなこと言ってね───、おいっ、なんだよ結多…!」


「なっ、な?なあ???」


「……おう」



< 51 / 261 >

この作品をシェア

pagetop