私のこと愛しすぎだよ、結多くん。




「このみちゃん、カレーすき?」


「うん。すきだよ」


「……やべ、いいな好きなもの聞くの。ぜんぜん違う目的で聞いてるとしても」



いま、思った。

もしかすると結多くんは、私と荒井さんを一緒に作業させるためにわざわざ身を引いたのかもしれない。


それもまた“うぬぼれ”だと言われちゃえば最後なのだけど。



「はいはいはーい。質問でーす」


「ど、どうぞ…?」


「このみちゃんの好きな食べ物は好きな動物は好きな季節は?」



あの…、やっぱりせめて読点は必要だと思うんだ結多くん。

最初は何を聞かれたっけって、思い出す工程からしなくちゃだから。



「秋が……好きかな」


「俺も好き」



最後の質問には入ってたと思う。

一か八かの賭けのような気持ちで答えてみた。


えっ、なんかすぐ返ってきた……よね。



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