私のこと愛しすぎだよ、結多くん。




・・・・彼は、なにをしているんだろう。


私の見解で説明していいならば、たぶん。


自分が倒したというふうに周りには見せないために、喧嘩しているとも見せないために。

あたかも倉田くんの具合がよろしくなくて彼が自発的に倒れた程(てい)を作って……いる。



「やめとけアホ。包丁使ってる場で騒ぐな」


「離せヤマト……!!」


「ヤマトじゃない、お前の担任だ」


「あっ、先生。いやっ、ティーチャー!!!倉田がさっ、急に倒れて…!具合悪そうだったから胸ぐら揺すっといたから俺!!」


「意味わかんねえよ。日本語不自由か」



うん、先生の言うとおりだ。
意味……わからない。

それで通そうとしている結多くんも結多くんだし、通せると思っている結多くんも結多くんだ。


担任の先生が30代後半の男性で、しかも柔道部顧問で良かった。



「とりあえず離れろ結多。無理やりはしたくない、俺も」


「っ、聞け倉田!!」


「おい、まだやるか。ここは公共の場ってこと分かってんのか」



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