私のこと愛しすぎだよ、結多くん。
いちいち反応が返ってくる、お隣さんから。
スッと座り直した結多くん、ラジオでも聴いているの…?
そのコード、なにとも繋がっていないような気がするのだけれど。
「…穂乃花ちゃんは?」
そしてここでも私、逃げる。
消極的チャンピオン、なるものがあったとしたならば。
それは私のことだと、挙手できるくらい。
「なんでだ!!おいおい焦らしプレイかよ…、そーいうとこも好きだぜ俺は」
………と、またもやお隣さんから聞こえてくる。
穂乃花ちゃんもチラチラ気にしつつ、口を開いた。
「わたしはね、保育園のときの若い先生だよ」
「わ、なんかいいね。かわいい」
「ふふ。他の子たちに優しくしてるところ見て泣いちゃってたもん。このみちゃんは?」
穂乃花ちゃんも女の子なんだなあって、高校生なんだなあって、つよく感じる。
恋というものに憧れを持つことは、ほとんどの人間の当たり前のようなもの。
それに高校生ともなれば、誰と誰が付き合っただとか、毎日のように噂されている。