私のこと愛しすぎだよ、結多くん。
「わ、私の初恋はね───」
「結多ゆいた結多っ!!俺いまっ、駅!!駅で!!」
忙しく教室に入ってきた、クラスメイトがひとり。
もちろんのこと私たちの会話に休止符を打ってしまうには、十分なもの。
「…おい…、なあ、ヤマトさあ……」
「いま駅でさっ!!見ちゃったわ!!ぜってえ本物!すれ違った確実に……!!」
結多くんはクラスに留まらず、学校内でも顔が広くて人気者。
男女両方から声をかけられるだけでなく、廊下を歩けば先輩さんからも名前を呼ばれるような。
そんな彼が普段つるむ男の子も、わりと目立つ人種たちばかり。
はめられたイヤホンが取れてしまうくらい、結多くんは肩を激しく揺すぶられていた。
「お前が好きだって言ってたアイドル!!なんだっけ、あんま目立たねえから名前も忘れたんだけど!」
「……りらぴょん」
「それそれっ!!りらぴょん!!駅で見たわ…!絶対りらぴょんだった!ははっ、そこまで可愛くなかったからすぐ分かったぞ」