私のこと愛しすぎだよ、結多くん。




その熱を冷ますものが、こんどは意地悪に現れる。



『どーせすぐ別れるの分かるし。結多あいつ、基本だれにでも優しいじゃん。
けっこう居るよね、浮いてる子にも同じように接して期待させるヤツ』


『相手は慣れてないから余計に好きになっちゃうんだよね、そーいうの』


『んー、でも。朝比奈さんだったら桐山さんのほうがいいかも』


『それ。なんか朝比奈さんは違うんだよねー』



なんか、とか。

ちがう、とか。



『いや、なんか……それくらい意外だなと思っただけです』



意外、とか。

曖昧なことばかりを言われて、勝手にジャッジされて。


縫い付けられたイメージぜんぶ、自分の性格や見た目のせいにする自分が、私はだいきらい。



「……どー、して」


「…なーに。このみちゃん」



自分の声がありえないくらい、震えちゃったこと。

ぐいっと、結多くんのぬくもりから逃げようとしたこと。



< 80 / 261 >

この作品をシェア

pagetop