私のこと愛しすぎだよ、結多くん。




いや失礼。
せめて名前だけでも覚えててあげようよ…。

そこまで可愛くなかったって、アイドルさんに言っていい言葉じゃない。


ただ結多くんもそーいうものに興味を持っていることは、意外だった。



「なにさらしてくれてんだこっんの…クソ馬鹿ヤマト……!!!」



────パシンッ!!



「うわっ、いてっ!なにすんだよ結多…!」



そりゃそうだよね。

自分の好きなアイドルを貶されたら、誰だとしても叩きたくなる。


珍しいほど、90%くらいの本気モードで怒っている結多くん。



「…“なにすんだよ”は、どう考えても俺のセリフ選手権グランプリ5年連続受賞おめでとう案件なんだけど」


「いや、だってお前のタイプ微妙なんだよいつも。俺はセンターのヒナコちゃん推してるし!りらぴょん推しは変態ってネットでも───」


「知らねえよボケ!!りらぴょんなんかどーだっていいわタコ…!!そーじゃなくっ、お前のせいで……っただろーが、」


「え?」


「このみちゃんの初恋エピソードが聞けなかっただろーがッッ!!!」


「……は?」



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