私のこと愛しすぎだよ、結多くん。
「ねえ、きみが水篠くん?」
「はい、ぼくが水篠くん」
「ふふっ、よろしくねー?面白い子がいるって有名だから声かけてみちゃった!」
「それを世間では気のせいって言うんですよ先輩。お疲れでーす」
「きゃはっ、かわいー」
中学から俺の毎日って大体はこんなもの。
俺自身が絡んだことなくとも、噂が噂を呼ぶように、人づたいでいろんなことが伝わって。
どちら様なんだいって人間たちが覗いてきては声をかけてくる。
1年のときは先輩率が高くて、2年以降は後輩が多くなる。
こーいうのって少女マンガとかでは相手は女子ばかりで表現されるけど、俺の場合はそれも違うのだ。
「なあ水篠、よかったら入ってくれよサッカー部!!」
「俺の高校生活を汗と涙で終わらせる気なのか貴様」
「最高じゃん!めちゃ青春!汗が嫌いな男はいねーだろ!」