私のこと愛しすぎだよ、結多くん。




「このみちゃーん」


「…………」


「えへ。今日から名前で呼んでみることにしましたー」


「…………」


「あれ?聞こえてない?もしかして音量ゼロにした?結多の音量、ゼロにしやがった??
ちょ、え、まじ?……今さらだけどこのみちゃん、人見知り?」



コクンと、控えめに答えてくれた2日目。


こーいう反応をされることは、俺にとって新鮮だった。

いつもウェーイなノリで絡んでくる女子率が多くて、物静かなタイプには逆に避けられる俺だったから。


“隣の席のよしみとして”なんて言い訳を使ってまでも、単純にまずは仲良くなりたいと思った。



「あっ……」



シャーペンの芯が折れると必ず小さな声が聞こえる授業中、ああ折れちゃったかそうかそうかって微笑ましくなる。


そろそろ新しい芯に変えればいいのに、ギリギリまで使おうとするところ。

消しゴムが割れたとき、どんな欠片だとしてもそっちから使うところ。



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