私のこと愛しすぎだよ、結多くん。




“自分が”褒められなくとも、先生から貰った「ありがとう」という言葉に。

それだけで満足な顔しちゃってるからさ、俺のこのみちゃんは。



「やっっべえ……、天使見つけた…」


「は?なんのこと?」


「ヤマト、俺まじ……今までの自分が恥ずかしい」


「…どーした結多」



なんだよ、もう。
なんなんだよ、もう。

この腐りかけた世の中にもまだあんな子が存在したの…?


そんな俺に、神様から直接的に与えられる言葉のような確信を付けられたのは、とある日の帰り道だった。



(あ……、このみちゃんだ)



同じ電車、同じ車両に乗っていただなんて。

角っこに座っているこのみちゃんの姿に、どのタイミングで声をかけようかと企んでは頬を緩ませていた。


プシューーと開くドア。


新たに追加される乗客のなかに、高齢のおじいさんが1人。

優先席は空いている、だからもちろんそこに座るだろうと思っていた。



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