ヒートフルーツ【特別編集版第1部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪
オリジナル原稿版/相馬豹一葬儀シーン~麻衣とケイコの対峙、その真実…/その1
剣崎



麻衣とケイコ…

共に相馬会長が生前、遠縁の娘として”力”を与えた、今年高校2年の少女だ

その二人を、今日は意図的に”そのポジション”を変えさせた

麻衣は親族側で弔問客を迎える立場、一方のケイコは弔問客として、親族側に弔意を手向ける立場だ

このシチュエーションを提案したのは、他ならぬ、相馬豹一その人だった…

それこそ、この世を去る直前の”指示”となった訳だ

俺としては遺言と受け取っているが…


...



麻衣を親族側に座させるってことは、まず、そのまま我ら業界からの参列者に向けてのメッセージになる

極めてダイレクトな…

いわば麻衣は、単なるガキ連中の世界を超えた、厳密には相和会内部の人間として捉えられてしまうんだ

そりゃあ、完全にカタギの親族ならともかく、麻衣はもうコテコテの”関与者”だ

そいつがいくら未成年の少女とは言え、ヤツの気性もあるが、それなりの場面において、この世界とは関係のない部外者では通用しない

無論、あの麻衣はそんな”例外扱い”など望んではいなだろうがな(苦笑)…

ともあれ、そういう意味合いを、今日ヤツが座ってる”席”は示している

ここを最初に押さえておかんとな


...


だが…、今時点、俺にとっての関心事はそれだけでは済まされない

当然ながらだ

麻衣が親族側で今弔問客を見届けている中、もうじきこの場に現れる、もう一人の女子高校生…

横田競子…

彼女は相馬会長が死んだ今、1年前の”あの人との約束”を忠実に実行へ移すはずだ

そこへ、相和会内部の立場に限りなく近づいた今日の麻衣の姿を眼前にする…

そのケイコの胸中に去来するものとは、果たしていかなるものとなるのだろうか…







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