ヒートフルーツ【特別編集版第1部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪
男たちのオセロゲーム/その7
剣崎


麻衣が建田さんのマッドハウスを嗅ぎまわってたのには、正直ヒヤヒヤものだったわ

ヤツが持ってくると言ってた”土産げ話”とやらも、まあ、そうは期待はしてなかった

”売込み”に当たりで手を突っ込むのは、定石とはいえ、ミエミエだろうし…

ところがだ、”向こうさん”は意外なくらいノーガードだった

建田さんは本当に、麻衣とケイコの区別もついてなかったみたいだったしな

麻衣は自分の隠れ蓑をよく知ってるし、機を捉える才能があるんだろうが…

まさに、バカにならない土産だったよ、麻衣

建田さんにこれから波状攻撃をかける際には、”球数”にはなるだろう

いや、局面によっては”決め球”に化けることもある…

そう思っていたが、実際は先方へのダメ押しとなる最後の矢にチョイスすることになったわ

...


それにしても、麻衣は別に相和会の内部事情を詳しくは知り得てはいない

それでも、あれだけ掴みを得た”釣り”ができるってのには、ますますもって驚かされるよ

この組が動く方向を見越しているような、恐ろしい触覚だ

すでにアイツの目は、ガキどものことを超えたところまで見据えてるような気がする

そして、アイツなりの”読み”もあるようだ

甘く見ず、気を付けたほうがいいな、やはり…

それに、ケイコもだ

麻衣といい勝負のじゃじゃ馬だし、突っ走り方も半端じゃない

だが、似て非なるもんだ、あの二人は

というより対極かもしれない

ある意味、赤と黒だ

それで、”こっちの都合”からしたら、むしろ、ケイコの方が危険かもな

アキラという男にお熱で、”抜け”に入ってるようだし

抑えどころを間違えると、こっち、いや”俺”自身、一巻の終わりもあり得ると心得なければだ



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