ヒートフルーツ【特別編集版第1部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪
盛夏の傷痕/その12
リゾルブ



ケイコは”自宅”に戻っていた。

母親と久しぶりに昼食を共にし、南玉連合の”役”を降りたと告げた。

母の美佐はホッと胸をなでおろし、「よかった。これで安心したわ、やっと」と、ケイコの決断を歓迎した。

「これから、学校に行ってくるよ。新学期から部活、また始めたいって話してくるわ」

「そう、それがいいわ。また普通の高校生に戻ってね、お願いよ」

美佐は、ケイコのこの言葉をなにより、待ち望んでいたようだ。

安どの表情だし、手放しで喜んでる。

しかし、そんな母の姿を見ていると、ケイコの胸は張り裂けそうだった。






”あの件”がもうすぐ明らかになる。

そうなれば母親だけでなく、家族全員、悲しみのどん底だろう。

”ゴメン、謝っても済まないことしてるんだ、私”

久々の温かい手料理を口にしている、ケイコ。

しかし皮肉にも今、噛みしめているのは、目の前の現実だった。

それは、苦い味以外の何ものでもなかった。

”だから、せめてそれまでの間、元に戻りたいんだ…”

ケイコの胸中には、切実な悲鳴のようなものが、こだましていた。


...


麻衣に”あの出来事”を告げられてから、ケイコはいろいろ考えた。

まだ、死にたくなるほど落ち込んでいたし、しょげていた。

でも今、真正面にあるのはアキラと約束したことじゃないのか。

それが一番、大事なことじゃないかと。

結局、そこに辿り着いた。

まずは、できるだけのこと、やってみるべきだろうと。

ホントにしんどい、めげそうだけど、可能な限りは踏ん張ってみようと。

盛夏にケイコはこう期した。

”そして待とう、アキラと会える時まで…。それでアキラが許してくれるかは、分からないけど”

ケイコは昼食を終えると、自転車で滝が丘高校へと出かけた。






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