ヒートフルーツ【特別編集版第1部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪
盛夏の傷痕/その15
ケイコ


暑いわ、やっぱり…、どこが冷夏だよ

のど乾きすぎだ、校庭にしばらくいたから…

さっきの鉄棒で結構、汗かいたし

あそこの自販機で水分補給するか


...



炭酸、めちゃくちゃうまいや

五臓六腑に染み渡るとは、このことかって実感する

普段はあんまり飲まないんだけど…

うわっ、ゲップ出そうだわ

…、と思ったところに、後ろから頭へコツンときた

「痛てー!」と、思わず声あげた

振り返ると、高校生らしき男の子が立っている

ニヤけた顔した長身のそいつ、わー、テツヤじゃんか!

「よっ、元気か?…、なんか、顔色悪りぃーな」

テツヤ、釣り竿持ってる…

このヤロー、これでこつきやがったか!

「あのなー、痛てえじゃんか!」

「はは、ホントならいきなりラリアットだ。で、そのあと寝技だぞ、普通、オレ」

「強姦だろ、それじゃ。アホ!」って言ったら、

「まあ、この人通りじゃあな…。オレでもさすがにだわ、ハハハ…」だって

「痩せたか、少し。生理不順か?」

あ、きたわ、このノリ、スケベヤローが!


...



コイツ、南部徹也って、黒沼高校の陸上部で同じ高2

まあ、一応、元カレ的になってんだけど、とにかくスケベ

「ああ、この前、薫に会ってさ。お前、彼氏できたってか?」

わー、絵美経由で話、拡散してるわ、"アキラ"とのこと…

「どんな奴なんだよ、年上か?」

返事しなかったら、テツヤ、ニヤニヤ笑い浮かべて、こう言った

「オヤジか…。奪いたくなってきたわ、お前のこと…」

あのな、動物が発情したようなベトついた顔、やめてくれよ


...



スケベなテツヤと初めて会ったのは、陸上の新人戦だった

なんか、なれなれしく声かけてきた訳、コイツ

ジャージのお尻んとこ、破れてるよとかって…

そのうち、ウチの主将に夢中になっちゃったんだ

私、橋渡ししたけど相手にされずでさ、コイツ

で、事もあろうに、主将、テツヤのお兄さんと付合ってたんだよね!

コイツ、それ知って、プライド傷ついたみたいで

私が裏かけたんだろって…

いいがかりだよって言ったら、コイツ、私を襲ってきやがってさ

欲望丸出しのケモノだったわ、ホント

まあ、私もね、そのままじゃないから…

そん時は、まあプロレスだったわ、はは…





とは言え、テツヤはケンカは強かった、ハンパなしに

でもね、アイツ、もう感情の赴くままだから

一匹オオカミなんだよね

それでこの春、一度、黒沼のバックに推されてんだよね

南玉連合と協定傘下の都県境各校は、女子勢力が全面出てたんで

そこに、男子の実力者が後ろ盾に着くって構図だったから

紅子さんが築いたフレームだよね

だけどさ、テツヤ、エッチな本性丸出しで…

片っ端から南玉の女の子に手、出しまくりだった

で、1か月でお払い箱になっちゃった

といっても、本人はどこ吹く風だったけど


...



お兄さんの南部聖一先輩を、少し見習っえて言ったんだけどね…

「オレ、兄貴みたいに拘束されんのやだよ」って

南部先輩は立派な人だったよ

グループの幹部で人望もあったし…

砂垣さんがパージの間、墨東会はあの人でうまくいってた

南部先輩と紅子さんとの関係も良好だったから

まあ、この話になると長くなっちゃう訳で…

南部先輩と相川夏美主将の関係は、1年前の再編での件も絡むし…


...


なにしろ、テツヤはお兄さんのそういったデリケートな立場には無縁、無関心

目の前にいるコイツは、理屈抜きのエロだからねぇ…

でも、”一時”の私にとっては、清涼剤的な存在ではあった





< 140 / 221 >

この作品をシェア

pagetop