ヒートフルーツ【特別編集版第1部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪
シナリオ&カラクリ/その8
アキラ



翌朝の10時ちょっと前、麻衣のアパートに着いた

1階にあるその部屋は、既に玄関ドアが開いていた

「本郷さんの部屋で、よろしいですか?」

一応、部屋の中に向かって声を掛けた

「アキラさん?どうぞ、入って」

部屋の奥から、麻衣の声がした

オレは部屋に入った

殺風景だが、きちんと片付いていて、割ときれいだ

想像では、もっと荒れた感じの部屋かなって思っていたが…

「どう?やつれたでしょ」

あれからさほど経っていないが、たしかに頬は明らかにこけてる

「だけど、予想してた程じゃないな。がっかりだよ、お前の七転八倒見れなくて」

オレは挑発気味に言った


...



麻衣はニヤニヤしながら立ち上がり、冷蔵庫の麦茶をグラスに入れて持ってきた

「これしかなくて、飲んで。…、気になってると思うから先、言っとくわ。おけいには最低限で話したわ。で、納得させてね。フフ、あなたに相当、熱ね。結構”元気”あったから、まあ大丈夫よ」

ケイコちゃんには”監禁”のことは言ったんだろう…

クソッ、早く会ってきちっと話したいよ

「それでね、タイムリミットなのよ、いよいよ。意味わかる?」

「ああ、そろそろと思ってたからな。俺はどうすればいいんだ?」

「接触があるわ、向こうから。あなたも承知のとおり、いつも近くにいるから、先方。指示が出るわ。それ待ってて。簡単でしょ?」

麻衣はこう言いながら、オレの右隣に座った

肩が触れ合うくらい、体を寄せてきてる

「だからさ、私の苦しむ姿、お見せできなくなっちゃった。埋め合わせはどうしようか?」

こいつ、早速、”仕掛けて”きた…

ここは用心だ、何企んでるかわからない、毎度のことだが

「あの時、私を襲おうと思ったんでしょ、あなた。でも勇気なかった。今はどうなの?」

「罠だと知って、その気になるかよ。お前みたいな子供、抱いたってしようがないしな」

今日のオレは、どうもこんな感じになってしまう

しかし、麻衣は表情一つ変えず、俺の目をじっと見つめてる

何考えてるんだか、こいつだけはさっぱりわからない

「あなた、おけいともまだやってないでしょ?ペチャだけど、中々よかったよ、あの子。アレの時、結構燃えるタイプかな…」

はー?何言ってんだ、麻衣は


...




「例の副作用か?アタマ大丈夫かよ、お前、言ってる意味さっぱりだぞ」

すると、麻衣は髪の毛を両手で捲し上げて、一度うつむいた

で…、笑いをこらえるような顔つきで、再び俺の方を向いた

「単純明快だよ。おけと私、ヤッたってこと。しかも二人ともイッたし。ハハハ…、子供同士でゴメンねだよな…」

ウソだろ?とりあえずそうとしか思えなかったし、思いたくもない

麻衣は、あっけにとられてる俺の右手を握ってきた

視線はじっとオレの目を見据えたままだ

「今日、あなたを呼んだのは、あの時の埋め合わせもなのよ。あなたの未来を奪った憎い小娘はさ、あなたの愛する女の体も奪ってたって訳…。まあその時、誘ってきたのはアイツの方だけどね…。さあ、どうするの?」

麻衣…、

コイツ、どこまでオレを追い込む気なんだよ…








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