ヒートフルーツ【特別編集版第1部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪
シナリオ&カラクリ/その10
アキラ




しばらくすると、麻衣は洗面所で髪を乾かしていた

ドライヤーの音がする中、麻衣が話しかけてくる

「私、これから矢になって飛んでくから…。あなたはココで留守番してて。と言っても、私は帰らないけど…。相和会の人間が来るわ。ナビゲートしてくれる手はずだから。説明よく聞いて、指示通りに行動して。基本はこの前、剣崎さんが話したシナリオよ。頑張りましょうね、お互い…」

何と端的な説明なんだろう…

それに、麻衣のこんな清々しい声、正直、驚きだ…

しかし、警察に捕まりに行くのに、頑張りましょうって感覚、なんか違うだろうって…

だんだんオレも、このイカレモードには染まってきたが

「わかった。ココで待ってりゃいんだな?」

細かい”進行”は分からないが、おそらく”使い”が来れば、はっきりするさ

今さらこの茶番のカラクリ、これ以上聞いてもしょうがないし、流れに任せる気だ

だけど、ケイコちゃんの方はどういう手はずになるんだろうか

洗面所から出てきた麻衣に聞いてみた


...



「おけいはその後ね。私らから聞き取りした結果って流れで…。本人には、剣崎さんが細かい話しをすることになると思う」

ここにきて、麻衣はテキパキと答えてくれるわ

「これカギね。”向こう”が来たら、受取るはずだから。戸締りとかはよろしく。さて、こっちは、これから体力仕事だわ、ハハハ…。今度、会う時は病院かな?来てよ、面会に」

そこまで考えてるのか、麻衣は…

なんて女だ、いろんな意味でだけど…

「行くさ。今度こそ、のた打ち回ってるザマ見てやる。でも、無理すんなよ。細かいことはよくわかんないけど」

「ああ…、でも手は抜けない。ずっとこんななのは、死ぬまでだ、きっと。じゃあ、行ってくるわ」

そう言って、麻衣は大股でアパートを出ていった

フン、憎らしいヤツだけど颯爽としてるわ、上から下まで黒で固めて

アイツ、目的とか野心とか、あるんだろうけど、不思議とギトギトしてない

損得とかに目が行ってないんだよ、何故だか…

まあやることはエゲツないが

要はピュアってことなのか…?


...



それにしても、ケイコちゃんが麻衣と”やった”のかよ…

作り話って感じじゃなかったし、たぶん、本当のことか…、それって…






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