ヒートフルーツ【特別編集版第1部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪
二人に灯った火
アキラ



風と波の音が闊歩している、真夏の夜の海岸

視線の向こうには、高校生らしき女の子たち

無邪気にはしゃいでる

どのくらいの距離があったのか?

見続けるているうちに、距離が縮まってくる

そんな感じなんだ…

いつも”こんな時”って…

自分はテトラポットに座ったままなのに…

動いてはいないのに


***


女の子たちが気づいてないままで、距離だけがどんどん狭まる…

さらに近づいてくる女の子たち

やがて、オレは、”タイミング”を自覚する

オレの後ろの視線もこの背中、押してるし…

では、そろそろ…

要は行くしかない

毎度のことだ…


***


で、オレ…、ためらわず、はしゃぐ輪に入っていった

左手にはブタの蚊取り線香

”かやりき”というやつだ

既にブタの口からはケムリが漏れている

ケムリの根っこは真っ赤で熱そうだ

当然だ

蚊取り線香は着火してるんだし


***


まず、オレが1本取る

それをおもむろに豚の口へ突っ込む

着火完了!

文字通り、口火をきった~~

鮮やかに光ってこぼれる火のつぶ

一瞬、あっけにとられる女の子たち

そして、間を置かず、あけっぴろげに喜んでくれてる

すると

一斉に、我先にと駆けてゆく先は…

砂浜に放られた花火の袋だ

さあ、みんなもどうぞだ~


***



彼女たちはブタの口にどんどん突っ込む

順番を守ってたのは、最初だけだった

”シューッ、ピューン、ボーン、シュシュシューッ”

次々と点火され、発射されていく

鮮やかな火の華を吹き上げながら…

やがて、女の子たちは踊り出した

両手に花火を掴んで

風のイタズラと格闘してた子たち

やっぱ、高校生みたいだ

7人いる…


***


風の闊歩が激しくなってきた

ここで”お待ちかねさん”たちを呼んだ

後ろで待機していた連れの5人が、小走りしてきた

向こうは7人だし、文句ないでしょ




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