ヒートフルーツ【特別編集版第1部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪
その4


しばらくの間をおくと、明石田は大きなため息をついて再び口を開いた

「ふう…。関東なんぞはよう、早速2代目争いに便乗しようって動きに出てるって。お前が奴ら喜ばせてどうすんだ、このアホが!小学校のハナタレ坊主がダダこねてるようなザマ曝しやがって…。矢島だって最高幹部に組葬ボイコット食らってよう、立場ねえよ。なら、それなりにカッコつけな、しゃーねーだろうよ」

「まあ、そうですが…」

さすがに建田は俯いて、しょぼんとした口調でそう漏らした

そんな建田に、明石田は依然、鋭い視線を突き抜くように浴びせていた

それは心の奥まで貫けとばかりに…

...


「…全く、いつまでこの俺に手間かけさせんだ、お前ら。こんなことなら、定男が死んじまわないほうが、俺は楽だったぞ」

「はは…、まあ、叔父貴…。そう熱くなんないで下さいよ。この建田宗政、痩せても枯れても会長亡き後もですよ、東西いずれの軒先を借りる気なんぞ、さらさらありませんって」

「バカか、お前は。こっちにその気がなくてもだ、相馬の兄貴があの世に旅立っちまったこの機を逃すかってんだよ、連中がよう…。この相和会を大手の傘下に取り込めるとあらば、東西は乳繰り合いも厭わねえって。目をつぶってよう、一時我慢すりゃいいんだ。後でゆっくりご馳走を分け合えるんならよう」

建田は盛んにフンフンと頷きながら、明石田の話しに聞き入っていた

...


「…さっそく北原には言っといたが、建田サイドの幹部連中へは東西のどっちもが触手を伸ばしてくるぞ。絶対にスキを見せるなよ、いいな!」

「承知しました。とにかく…、今日は会長が”血縁にした”女子高生でしたかね…。まあ、その2番目の娘からはペーパー受け取りますんで。しっかりと。破るのも読んでからにします」

「うむ…。まあ、俺も立ち合って中身は確認させてもらう。いいな?」

「ええ、それで、ひとつよろしく願います。…ですから、”今後”のことはいろいろ頼みますよ、叔父貴」

「しょうがねえなあ…。2代目はお前か矢島の選択肢しかねえんだから、多少は組内が揉めんのは仕方ねえ。要は、大手さんに弱みを突かれないような決着をみればいいんだ。だから、”それ”で判断するぞ、お前ら二人のどっちかってのはな」

「ええ、そういうことで構わんです。相和会を割るような気は毛頭ないっすから、俺だって…。ああ、それで今日の遣いはギャルのみから授かりますんで、サンピンは門前払いで掃いて捨てます。いいっすね?」

「ああ。だが、手荒なマネは絶対ダメだぞ」

「へへ…、心得てますよ、それくらいは」

ケイコたちが”ここ”を訪れる15分前…

明石田泰造と建田宗政は、とりあえず今日のところの”合意”に達した






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