ヒートフルーツ【特別編集版第1部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪
病室にて/その2
ケイコ
「麻衣のヤロウ、”いつ、くたばるんですか?”とか、ぬかしてたわ。ハハハ…、お互い最後なのは”承知”だが、どうしてもそんな会話になってな、ハハハ」
会長はやっぱり、麻衣が”可愛くて”しょうがないんだな
相和会のみんなが言ってるように、麻衣とはホントに血が繋がってると思えてくる
それだけに、実の娘との最後の別れみたいなものだったんだろうな、麻衣とは…
傍から見ても、二人の間のシンパシーとか、はっきり伝わってくるし
麻衣から言わせると、イカレたもの同士だからとかって…
私なんか、とても入り込めない…
麻衣は特別の存在になってたんだ、晩年の会長にとっては
だから、麻衣の前でプッシュアップってのは、なんとなくわかるかな…
...
死期が間近かと悟っている相馬会長は、私の今後を按じてくれた
「俺が死んじまった後は、組も跡目やらで荒れるだろう。お前は今から”例の”足抜け図っとけ。しばらくは、剣崎に面倒見させるが、なるべく早めに目途をな…」
「わかってます。自分もそのつもりなんで」
「麻衣の方は、まだまだやる気満々でな。まあ、ヤツは俺と”一緒”だろうから、またイカレたこと考えてるんだろうが。だがな、できるなら、普通に戻してやりたい。まだ16だしな。お前には面倒かけるが、その辺頼む」
「麻衣は私の言うこと、聞きやしないですよ。でも、そこはビシッと言って、引きずりもどしますよ。私らみたいな子供に、信じられないくらいのバックアップしてもらった、その代償、約束ですから。アイツもわかってるはずです」
「お前には”わしら”に付き合ってくれて、感謝してる。ヤバイことに引っ張り込んじまってな。すんなりはいかんと思うが、勘弁してくれ」
会長でもこういう言葉を持ち合わせているのか…
「麻衣がお前と張り合ってる姿を見るのが、ここのところの楽しみだった。アイツをあれだけムキにさせられたのは、お前だけだったしな。死ぬ前に、いい思いさしてもらったよ」
「麻衣とタイマンの日、そのあと、あなたに出会えたこと、私、忘れませんよ。会長、お世話になりました」
「うん…。ケイコ、達者でな」
会長は既に目を閉じていた
自分で言うのもなんだが、ドライな会話だった
...
相馬さんは私のこと、ホント、気遣ってくれてはいる
でも、麻衣とは所詮違うよ、私は
この人と会うのはこれが最後だというのに
ホントは泣き崩れて取り乱したいくらい、ある意味、大事な人なのに
私、もっと別れを惜しむべきなんじゃないか
何なんだ、自分って気がしてならなかった
相馬さんにはもっと伝えることがあるんだろうに、通り一遍だ、私
麻衣なんか、相馬会長とは心の深いところで結ばれてる
それに比べれば、私なんて刺身のツマみたいなもんだ
病室を出ると、勝田さんは看護婦さんと立ち話をしていた
なんだか、もうすぐ死ぬことになる、それなりの大物の周りなのに、普通すぎるよ
ケイコ
「麻衣のヤロウ、”いつ、くたばるんですか?”とか、ぬかしてたわ。ハハハ…、お互い最後なのは”承知”だが、どうしてもそんな会話になってな、ハハハ」
会長はやっぱり、麻衣が”可愛くて”しょうがないんだな
相和会のみんなが言ってるように、麻衣とはホントに血が繋がってると思えてくる
それだけに、実の娘との最後の別れみたいなものだったんだろうな、麻衣とは…
傍から見ても、二人の間のシンパシーとか、はっきり伝わってくるし
麻衣から言わせると、イカレたもの同士だからとかって…
私なんか、とても入り込めない…
麻衣は特別の存在になってたんだ、晩年の会長にとっては
だから、麻衣の前でプッシュアップってのは、なんとなくわかるかな…
...
死期が間近かと悟っている相馬会長は、私の今後を按じてくれた
「俺が死んじまった後は、組も跡目やらで荒れるだろう。お前は今から”例の”足抜け図っとけ。しばらくは、剣崎に面倒見させるが、なるべく早めに目途をな…」
「わかってます。自分もそのつもりなんで」
「麻衣の方は、まだまだやる気満々でな。まあ、ヤツは俺と”一緒”だろうから、またイカレたこと考えてるんだろうが。だがな、できるなら、普通に戻してやりたい。まだ16だしな。お前には面倒かけるが、その辺頼む」
「麻衣は私の言うこと、聞きやしないですよ。でも、そこはビシッと言って、引きずりもどしますよ。私らみたいな子供に、信じられないくらいのバックアップしてもらった、その代償、約束ですから。アイツもわかってるはずです」
「お前には”わしら”に付き合ってくれて、感謝してる。ヤバイことに引っ張り込んじまってな。すんなりはいかんと思うが、勘弁してくれ」
会長でもこういう言葉を持ち合わせているのか…
「麻衣がお前と張り合ってる姿を見るのが、ここのところの楽しみだった。アイツをあれだけムキにさせられたのは、お前だけだったしな。死ぬ前に、いい思いさしてもらったよ」
「麻衣とタイマンの日、そのあと、あなたに出会えたこと、私、忘れませんよ。会長、お世話になりました」
「うん…。ケイコ、達者でな」
会長は既に目を閉じていた
自分で言うのもなんだが、ドライな会話だった
...
相馬さんは私のこと、ホント、気遣ってくれてはいる
でも、麻衣とは所詮違うよ、私は
この人と会うのはこれが最後だというのに
ホントは泣き崩れて取り乱したいくらい、ある意味、大事な人なのに
私、もっと別れを惜しむべきなんじゃないか
何なんだ、自分って気がしてならなかった
相馬さんにはもっと伝えることがあるんだろうに、通り一遍だ、私
麻衣なんか、相馬会長とは心の深いところで結ばれてる
それに比べれば、私なんて刺身のツマみたいなもんだ
病室を出ると、勝田さんは看護婦さんと立ち話をしていた
なんだか、もうすぐ死ぬことになる、それなりの大物の周りなのに、普通すぎるよ