噂の〝クズ〟に溺れて。
***
──────その日の帰り道。
「ね〜、羽衣ってば、ルール知らないの?」
陽七に、ふと尋ねられた。
「へ?ルール??」
私がそう問いかけると。
「うん。ルール」
「えと、どんなルール?」
「久住くんに関するルール」
サラッと、
〝知ってて当然〟って顔で言う陽七。
「え、ごめん。知らない、」
素直にそう言うと。
「あー、やっぱりねぇ、」
納得したような顔で言葉を発した陽七。
「やっぱり、って?」
私がそう問いかけると。
「久住くんに関するルールはね、
〝視線が合ったら次にキス出来る〟ってこと」
ピンと人差し指を立てて。
かつ、
ピンクのハートが見えそうな勢いで、
乙女な顔をしている陽七。