噂の〝クズ〟に溺れて。


***



理科室に着いて、
慌てていたから、勢いよく扉を開けた。



........................のだけど。



角度を変えながら口付けを交わす男女の姿。



時折り、
────ちゅっ、ちゅっと聞こえるリップ音。



何を見せられてるのか分からなくって。



頭では、〝やばい〟と警告音が鳴ってるのに。



体が硬直して動かなくって。



私は、
そのまま、廊下の地べたへと座り込んだ。



座り込んだときの音が聞こえたのか。



「あっれ〜、良いとこだったのに」



そう言いながら、
少し悪そうな目つきで近寄って来る男の子。



「っ、」



近寄り方が、
〝こいつ、距離感バカなんじゃないか?〟
そう思うほどの距離の詰めかた。

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