あなたの子ですよ ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~【短編版】
久しぶりに会ったウリヤナは、以前と変わらず質素な装いであった。それでも、彼女の内側からは自信とか威厳とか、そういった前向きな感情が溢れ出ている。彼女と比べたらなんて自分は惨めなのだろう。
ウリヤナは王城を訪れると、コリーンをお茶に誘っていた。他愛もない話をして時間を共に過ごす。ウリヤナは以前と変わっていない。変わってしまったのは、そんな彼女に醜い嫉妬心を抱くようになったコリーン自身なのだ。
だがそんな気持ちを悟られないようにと、必死に平静を装っていた。
それからしばらくして、クロヴィスの噂も聞こえるようになった。公の場ではウリヤナを隣に連れているが、それ以外――ウリヤナがいないような場所では他の令嬢を侍らせている。
それとなくウリヤナに伝えたが、彼女は取り乱すようなことはせずただ黙って話に耳を傾けていた。
クロヴィスはウリヤナをどう思っているのだろうか。ちがう令嬢を隣におきながらも、ウリヤナを見つめる瞳はどこか寂しそうに見えた――。
ある日、コリーンが王城の回廊を歩いていると、一人の神官に呼び止められた。
『やや。あなた様はウリヤナ様と親しくされているコリーン様ですね』
ウリヤナのおかげだとしても、そうやって名が広まっているのは悪い気はしない。
『実はここだけの話ですが――』
その神官は、そっとコリーンに耳打ちした。
――ウリヤナ様は、聖なる力を失われてしまったのです。
コリーンは呼吸の仕方を忘れてしまったかのように胸が痛んだ。
ウリヤナは王城を訪れると、コリーンをお茶に誘っていた。他愛もない話をして時間を共に過ごす。ウリヤナは以前と変わっていない。変わってしまったのは、そんな彼女に醜い嫉妬心を抱くようになったコリーン自身なのだ。
だがそんな気持ちを悟られないようにと、必死に平静を装っていた。
それからしばらくして、クロヴィスの噂も聞こえるようになった。公の場ではウリヤナを隣に連れているが、それ以外――ウリヤナがいないような場所では他の令嬢を侍らせている。
それとなくウリヤナに伝えたが、彼女は取り乱すようなことはせずただ黙って話に耳を傾けていた。
クロヴィスはウリヤナをどう思っているのだろうか。ちがう令嬢を隣におきながらも、ウリヤナを見つめる瞳はどこか寂しそうに見えた――。
ある日、コリーンが王城の回廊を歩いていると、一人の神官に呼び止められた。
『やや。あなた様はウリヤナ様と親しくされているコリーン様ですね』
ウリヤナのおかげだとしても、そうやって名が広まっているのは悪い気はしない。
『実はここだけの話ですが――』
その神官は、そっとコリーンに耳打ちした。
――ウリヤナ様は、聖なる力を失われてしまったのです。
コリーンは呼吸の仕方を忘れてしまったかのように胸が痛んだ。