あなたの子ですよ ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~【短編版】
「お前の姉なのか?」
尋ねると、彼は勢いよく首を横に振った。あまりにも激しくて、首が外れてしまうのではと心配になるほど。
「おねえちゃんは、馬車でいっしょになった」
爆発した簡易宿は馬車移動の中継点にも使われていたようだ。
「ソクーレにいくところ」
「ウリヤナさんはソクーレに向かわれていたのです。その馬車で一緒になりました」
先ほどまで倒れていた女性の止血をしていた女性は男の子の母親なのだろう。男の子の言葉を補足するかのように口を開いた。
「ウリヤナ……」
どこかで聞いたことがあるような名だ。
「そういえば、先ほど。彼女が助けてくれたと言っていたが?」
できるだけ圧を与えぬよう、穏やかな口調を心掛けて男の子に尋ねた。子どもは嫌いではないのだが、子どものほうから恐れられるのがレナートという男でもある。
「はい。ウリヤナさんが魔法を使って、私たちを助けてくれたのです。だから私たちもこうやって」
母親が答えてくれるなら、レナートとしても助かる。
「だが、彼女は」
ウリヤナという女性からは魔力がいっさい感じられない。それでも魔法を使ったと言う。
それに彼女からは、もう一つ別の力を感じた。
尋ねると、彼は勢いよく首を横に振った。あまりにも激しくて、首が外れてしまうのではと心配になるほど。
「おねえちゃんは、馬車でいっしょになった」
爆発した簡易宿は馬車移動の中継点にも使われていたようだ。
「ソクーレにいくところ」
「ウリヤナさんはソクーレに向かわれていたのです。その馬車で一緒になりました」
先ほどまで倒れていた女性の止血をしていた女性は男の子の母親なのだろう。男の子の言葉を補足するかのように口を開いた。
「ウリヤナ……」
どこかで聞いたことがあるような名だ。
「そういえば、先ほど。彼女が助けてくれたと言っていたが?」
できるだけ圧を与えぬよう、穏やかな口調を心掛けて男の子に尋ねた。子どもは嫌いではないのだが、子どものほうから恐れられるのがレナートという男でもある。
「はい。ウリヤナさんが魔法を使って、私たちを助けてくれたのです。だから私たちもこうやって」
母親が答えてくれるなら、レナートとしても助かる。
「だが、彼女は」
ウリヤナという女性からは魔力がいっさい感じられない。それでも魔法を使ったと言う。
それに彼女からは、もう一つ別の力を感じた。