あなたの子ですよ ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~【短編版】
「そうかもしれないな」
レナートもそう思い始めていた。直接マシューと会って、彼からは大した魔力を感じられなかった。
宿につくと、エントランスですぐさまロイに見つかってしまった。
彼はレナート付きの従者であり、レナートが出かける場所には漏れなくついてくる。
「レナート様。一体、どこから出てどちらに行っていたのですか? 今、そこの宿が爆発したと大騒ぎです。それに、こちらの方々は……」
いつもであればツンツンと尖っている茶色の髪が乱れているのは、走り回ってレナートを探していたからだろう。少し、息もあがっているようだ。それでもレナートの姿を見て安心したのか、青色の瞳をふと緩めた。
「詳しい話は後だ。俺が借りている部屋、隣の間が空いていたよな?」
「はい」
「そこにこの母子を」
「こちらの女性は?」
「少し治療する必要がある」
ロイは「承知しました」と深く腰を折ると、母子を部屋へと案内する。
レナートは腕に抱えているウリヤナを抱きなおした。
レナートもそう思い始めていた。直接マシューと会って、彼からは大した魔力を感じられなかった。
宿につくと、エントランスですぐさまロイに見つかってしまった。
彼はレナート付きの従者であり、レナートが出かける場所には漏れなくついてくる。
「レナート様。一体、どこから出てどちらに行っていたのですか? 今、そこの宿が爆発したと大騒ぎです。それに、こちらの方々は……」
いつもであればツンツンと尖っている茶色の髪が乱れているのは、走り回ってレナートを探していたからだろう。少し、息もあがっているようだ。それでもレナートの姿を見て安心したのか、青色の瞳をふと緩めた。
「詳しい話は後だ。俺が借りている部屋、隣の間が空いていたよな?」
「はい」
「そこにこの母子を」
「こちらの女性は?」
「少し治療する必要がある」
ロイは「承知しました」と深く腰を折ると、母子を部屋へと案内する。
レナートは腕に抱えているウリヤナを抱きなおした。