あなたの子ですよ ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~【短編版】
「大丈夫か?」
「あ、はい……ありがとうございます。ところで、ここは?」
きょろきょろと周囲を見回すが、先ほどまでいた安っぽい宿ではない。今いる寝台も、柔らかい。
「テルキにある宿だな。お前が休んでいた宿は、まぁ、あれだ」
「あぁ」
思い出した。
激しい爆発音がした。だから神官からもらった魔石を用いて瞬間的に防護壁を放った。それから部屋を出て母子のもとへと向かったのだが、すでに室内には煙と焦げ臭いにおいが漂っていた。
そこから記憶が途切れている。
「他の人は……」
「まぁ。怪我をした人はちらほらいたが、今のところ、死人が出たとは聞いてないな。出たら、お前をここにつれてくることはできなかっただろう」
「ありがとうございます……あ、名前」
あの状況で死人が出なかったのは魔石のおかげだろう。
「俺はレナートだ。聖女ウリヤナ様」
助けてくれた感謝の気持ち吹っ飛んだ。じろりと目の前の男を睨む。
癖のある黒い髪は一つに結わえてあり、一重の青色の瞳がどこか冷たく感じる。
「そんな顔をしなさんな。美人さんが台なしだな。それよりもマシューが心配してた。俺に助けを求めたのもマシューだ」
マシューは馬車で一緒になった男の子だ。
「今日はもう遅いから、明日、マシューたちに会わせてやる」
「あ、はい……ありがとうございます。ところで、ここは?」
きょろきょろと周囲を見回すが、先ほどまでいた安っぽい宿ではない。今いる寝台も、柔らかい。
「テルキにある宿だな。お前が休んでいた宿は、まぁ、あれだ」
「あぁ」
思い出した。
激しい爆発音がした。だから神官からもらった魔石を用いて瞬間的に防護壁を放った。それから部屋を出て母子のもとへと向かったのだが、すでに室内には煙と焦げ臭いにおいが漂っていた。
そこから記憶が途切れている。
「他の人は……」
「まぁ。怪我をした人はちらほらいたが、今のところ、死人が出たとは聞いてないな。出たら、お前をここにつれてくることはできなかっただろう」
「ありがとうございます……あ、名前」
あの状況で死人が出なかったのは魔石のおかげだろう。
「俺はレナートだ。聖女ウリヤナ様」
助けてくれた感謝の気持ち吹っ飛んだ。じろりと目の前の男を睨む。
癖のある黒い髪は一つに結わえてあり、一重の青色の瞳がどこか冷たく感じる。
「そんな顔をしなさんな。美人さんが台なしだな。それよりもマシューが心配してた。俺に助けを求めたのもマシューだ」
マシューは馬車で一緒になった男の子だ。
「今日はもう遅いから、明日、マシューたちに会わせてやる」