あなたの子ですよ ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~【短編版】
「マシューたちは無事なのですか?」
「ああ。母親と一緒に隣の部屋で休んでいる」
「ありがとうございます」
「俺もお前に聞きたいことはいろいろとあるんだが、今日はもう休め」
彼の手がぽふっと頭を撫でた。
「傷口は痛まないか?」
「傷?」
「マシューをかばって怪我をしたと聞いている」
レナートが指さしたのは、ウリヤナの右腕である。そこには包帯がぐるぐるとまかれていた。
「はい。大丈夫です」
問われるまでわからなかったのだから、痛くはない。
「そうか。それはよかった。とにかく今日はもう休め。水でも飲むか?」
それには首を横に振って答えた。
「俺はそっちで寝るから。何かあったら、呼んでくれ」
「はい。ありがとうございます」
その言葉を聞いたレナートは、口元を緩めた。何か言いたそうにしていたが「おやすみ」とだけ言って、寝台の周りの明かりを弱めていく。
ウリヤナはもう一度横になった。
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