あなたの子ですよ ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~【短編版】
目が覚めると、新しい着替えも用意されているし風呂にも入れると言う。
ウリヤナが浴室を使っている間に、食事の準備も整えられていた。
そこにはマシューと彼の母親の姿もあった。
「おねえちゃん!」
「マシュー。ナナミさんも」
「ウリヤナさん。元気そうで安心しました」
母子と別れていたのはたった一晩であったはずなのに、数年ぶりの再会のような気がした。
「おねえちゃん。あのね、おじさんが助けてくれたんだよ」
「マシュー。俺はレナートだ。おじさんではない。何度言ったらわかる?」
「あ。レナートが助けてくれたんだよ」
わざわざそうやって言い直すマシューは素直である。
「積もる話はあるだろうが、先に朝食にしないか? 腹が減ってるだろう?」
「うん。ぼく、お腹ぺこぺこ」
マシューがお腹に手を当てるとレナートの目が糸のように細くなった。どことなく柔らかな表情を浮かべている彼に、おもわず目を奪われた。
「ところで、お前たちはソクーレに向かうと言っていたな」
「ソクーレは、おかあさんが生まれたところだよ」
マシューの明るい声が、その場を和ます。
「そうか。ウリヤナは?」
彼はウリヤナが聖女であることを知っている。そのような女性が、お供をつけずにソクーレに向かっているのを不思議に思っても仕方ないだろう。
ウリヤナが浴室を使っている間に、食事の準備も整えられていた。
そこにはマシューと彼の母親の姿もあった。
「おねえちゃん!」
「マシュー。ナナミさんも」
「ウリヤナさん。元気そうで安心しました」
母子と別れていたのはたった一晩であったはずなのに、数年ぶりの再会のような気がした。
「おねえちゃん。あのね、おじさんが助けてくれたんだよ」
「マシュー。俺はレナートだ。おじさんではない。何度言ったらわかる?」
「あ。レナートが助けてくれたんだよ」
わざわざそうやって言い直すマシューは素直である。
「積もる話はあるだろうが、先に朝食にしないか? 腹が減ってるだろう?」
「うん。ぼく、お腹ぺこぺこ」
マシューがお腹に手を当てるとレナートの目が糸のように細くなった。どことなく柔らかな表情を浮かべている彼に、おもわず目を奪われた。
「ところで、お前たちはソクーレに向かうと言っていたな」
「ソクーレは、おかあさんが生まれたところだよ」
マシューの明るい声が、その場を和ます。
「そうか。ウリヤナは?」
彼はウリヤナが聖女であることを知っている。そのような女性が、お供をつけずにソクーレに向かっているのを不思議に思っても仕方ないだろう。