あなたの子ですよ ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~【短編版】
だがウリヤナに力は戻ってこない。それでもレナートはそれを責めない。生活魔法が使えないのは不便だろうと、魔力を閉じ込めた魔石やら魔導具やらを準備してくれる。
ここまで甘えてしまっていいのだろうかと恐縮してしまうくらいだ。
彼はお腹の子に魔力を注いだ後は、ウリヤナの頭を撫でてから席を立つ。そんな彼の動きを、つい目で追ってしまう。
「どうかしたのか?」
「なんでもない」
ウリヤナはかぶりを振った。
こんな気持ちになるのはおかしいのだろうか。ここに来てから彼を好ましいと思っている。
「やはり、顔色があまりよくない。また魔力に当てられたか?」
「大丈夫よ。あなたが会わせたい人がいるっていうから、それで緊張しているのよ」
ここに来てから他の者と会ったことがない。立派な屋敷に住まわせてもらっているが、それも上階にある日当たりのよい部屋で、気分がよいときには庭園に散歩に出る程度だ。
けしてレナートがここに閉じ込めているわけではなく、今は大事な時期だからと過保護になっているだけである。それもウリヤナの気分が優れなかった時期が長かったせいだ。
「そんなに緊張する必要はない。俺の兄だからな」
「お兄様? レナートにはお兄様がいらしたの?」
ここまで甘えてしまっていいのだろうかと恐縮してしまうくらいだ。
彼はお腹の子に魔力を注いだ後は、ウリヤナの頭を撫でてから席を立つ。そんな彼の動きを、つい目で追ってしまう。
「どうかしたのか?」
「なんでもない」
ウリヤナはかぶりを振った。
こんな気持ちになるのはおかしいのだろうか。ここに来てから彼を好ましいと思っている。
「やはり、顔色があまりよくない。また魔力に当てられたか?」
「大丈夫よ。あなたが会わせたい人がいるっていうから、それで緊張しているのよ」
ここに来てから他の者と会ったことがない。立派な屋敷に住まわせてもらっているが、それも上階にある日当たりのよい部屋で、気分がよいときには庭園に散歩に出る程度だ。
けしてレナートがここに閉じ込めているわけではなく、今は大事な時期だからと過保護になっているだけである。それもウリヤナの気分が優れなかった時期が長かったせいだ。
「そんなに緊張する必要はない。俺の兄だからな」
「お兄様? レナートにはお兄様がいらしたの?」