あなたの子ですよ ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~【短編版】
「だからローレムバが手を貸すことにした。国王に呼ばれたのはそれもある」
「そう、なの?」
「ああ。イングラムをこのままの状態にしておくのはまずいだろう?人々の生活もあるしな」
だから、ウリヤナ。と、彼は言葉を続ける。
「俺と共にイングラムに行ってくれないか?」
ウリヤナはぱちぱちと目を瞬いた。
「あなたが行くの?」
「俺が行く。俺がイングラムを救う」
「どうして?」
彼は糸のように目を細くする。
「お前が生まれ育った国だし、お前の家族もいるからだ。それにこの子はイングラムの王族の血を引いている。お前の力も戻ってきているのだろう?」
「気づいていたの?」
「ああ。お前の力はこの子を守っていたのだろうな。だから力を失ったかのように見えた」
子を授かり、子を何かから守るために一時的に力を失った。
彼はそう言いたいのだろう。
むしろ、あの男から子を守るために――。
彼女は困った様にきょろきょろと視線を泳がせてから、レナートの腕の中にいる赤ん坊を抱き上げた。
それは彼女の照れ隠しの行為であることを彼は知っている。
「そう、なの?」
「ああ。イングラムをこのままの状態にしておくのはまずいだろう?人々の生活もあるしな」
だから、ウリヤナ。と、彼は言葉を続ける。
「俺と共にイングラムに行ってくれないか?」
ウリヤナはぱちぱちと目を瞬いた。
「あなたが行くの?」
「俺が行く。俺がイングラムを救う」
「どうして?」
彼は糸のように目を細くする。
「お前が生まれ育った国だし、お前の家族もいるからだ。それにこの子はイングラムの王族の血を引いている。お前の力も戻ってきているのだろう?」
「気づいていたの?」
「ああ。お前の力はこの子を守っていたのだろうな。だから力を失ったかのように見えた」
子を授かり、子を何かから守るために一時的に力を失った。
彼はそう言いたいのだろう。
むしろ、あの男から子を守るために――。
彼女は困った様にきょろきょろと視線を泳がせてから、レナートの腕の中にいる赤ん坊を抱き上げた。
それは彼女の照れ隠しの行為であることを彼は知っている。