卒業式の告白を叶えたい元教え子に、こじらせ先生は溺愛される~再会は深愛の始まり
【プロローグ 先生への想い~高校3年生の耀】
俺、北見 耀(きたみ よう)は、高校2年の春休み、バスケ部のキャプテンとして、毎日練習をしていた。
強豪区で、いつも1回戦負けのチーム。
それでも皆で諦めず、勝利に向かって汗を流していた。

そして、3年生として迎えた新学期の初日。
それは、俺の運命を変える日となった。
「3年1組副担任の新庄です。今日から顧問の川田先生の補助をしますので、チームの一員として、宜しくお願いします」
それは、今朝、教室で俺の副担任として挨拶した先生で、大学卒業後、うちの高校に来た新庄先生だ。
俺の肩の位置くらいの身長に、透き通るような色白で、黒の細型の丸眼鏡を掛けた先生。
髪を束ねた先は、緩くパーマが掛かっていて、眼鏡の奥の大きな目は愛らしく、笑うと目尻が下がる。
ふっくらした小さな口元も可愛いらしい。
顔が小さいから、眼鏡が大きく感じるや。
女子生徒に囲まれて、
「先生、コンタクトにしないの?眼鏡外した方が、絶対可愛いよ」
と、その内の1人が質問した。
「コンタクトを無くすことが多くて。眼鏡に変えたの」
「そんなに無くすものなの?どれだけ無くしたの?」
笑い声が上がる女子生徒の中心で、はにかんだ先生の笑顔は、目に焼き付くほど、印象的だった。

バスケの練習に明け暮れた2年間。
3年になってからも、練習の毎日だった。
新庄先生は、バスケ部経験者で、ポジションはポイントガードだったらしく、たまに相手をしてくれるけど、小さいから俺の相手にならない。
ボールを持って、腕を上げて、
「新庄先生、取ってみて」
そう言うと、一生懸命ジャンプして取る姿が、凄く可愛い。
遠征や合宿の時は、先生も同行して、俺達のボール拾いや備品のチェックもしてくれた。
「先生、ちょっと来て!」
「どうしたの?」
練習の合間に、後輩達が声を掛けていた。
「勝負しようよ。俺を抜いて、この線越えたら、先生の勝ち!」
「よーし!いいわよ」
先生は、ちょこちょこ動き回って、皆振り回されている。
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