卒業式の告白を叶えたい元教え子に、こじらせ先生は溺愛される~再会は深愛の始まり
「山坂さんと、これから店の事を話進める時に、先生のことも考えよう。今はWebで勉強を教える事が出来るけど、先生は直接教えたいんだろ?」
「うん、やっぱり直接教えたい。何で分かるの?」
「俺がどんだけ先生のこと、見てたと思ってるんだよ」
優しく微笑む北見くんは、大人びてはいるけど、高校生の頃と変わってない。
いつも私が困った時は、必ず傍にいて助けてくれてたっけ・・・
「それまで、男子生徒の時は、距離を置けよ。分かった?」
「うん・・・分かった」
「よしっ」
北見くんに頭を撫でられて、どっちが年上なんだと情けなくなった。
でも、本気で心配してくれている北見くんに、心揺さぶられていた。

最近、北見くんがカウンターに座ってるのをよく見かける。
教室も終わり、お客さんも少なくなって、2人の周りに人は居なかった。
「北見くん、社長でしょ?部下が仕事してるのに、さぼってばっかりで」
「先生知らないの?今はWebでも会議出来るし、情報も共有出来るから、外でも仕事、出来るんだよ」
「そ、それくらい知ってるわよ。でも、部下の相談とかあるでしょ、色々と」
「俺の部下達は優秀なもんでね。俺の同年代や先輩もいれば、ベテランの事務員、定年前で家庭の事情で会社を辞めたハイスキルの人に来て貰ったりしてる。優秀な人財ばかりだよ」
「・・・もう、分かったからいい」
私が拗ねるのを見て、北見くんは笑っていた。
「奈菜先生、コーヒー淹れてよ」
「はいはい」
私はブレンドコーヒーを淹れて、北見くんの前にカップを置いた。
本当は、昔みたいに話が出来て嬉しい。
月日が流れて、お互い大人になったけど、あの時と変らない。
大介と別れてから、子供達に勉強を教えてる時だけが、自分らしくいれた。
だから、北見くんが来てくれるのは、本当の自分に戻れて、凄く嬉しい。
「奈菜先生、彼氏と元々上手くいってなかっただろ?」
< 17 / 78 >

この作品をシェア

pagetop