卒業式の告白を叶えたい元教え子に、こじらせ先生は溺愛される~再会は深愛の始まり
「はいっ、私の勝ちね!私に抜かれてるようじゃ、まだまだよ。なんてねっ」
いつもケラケラと笑う先生がいると、毎日が楽しかった。

先生を見ていたら、気持ちが和む。
その感情が、恋愛感情に変わっていったのは、あっという間だった。
新庄先生は、少し天然というか、ドジなところがあって、俺といると何かとハプニングを起こし、結局、俺が面倒を見ることが多かった。
「ごめんね。なんか北見くんばっかりに、私のドジっぷり見られちゃって」
「本当だぜ。先生、俺ばっか狙ってるの?」
「そ、そんなことないよ!でも、北見くんなら何とかしてくれるって、何処かで思ってるのかも」
「ば、馬鹿じゃねえの」
そんな会話を交わしながらも、俺は、どんどん先生に惹かれていく。

顧問の川田先生、通称、川センは、俺達のために、よく練習試合を組んでくれた。
引退試合に向けた、ある練習試合。
2Qに入っても、0点のスコアボードに、キャプテンとして、せめて1ゴールでもと思って、必死にボールを追いかけた。
3Qが始まっても、ゲームメイクが上手くいかない。
俺は、同じように走り続けて、途中でバテてしまって、交代になった。
「無理したらダメだよ」
新庄先生はずっと俺の傍で、うちわで仰いでくれていた。
「先生。俺、キャプテンとしてダメだよな。1ゴールも取れないんだぜ」
情けなくて、涙が出て、頭にかぶせていたタオルで拭った。
「そんなことないよ。見て。みんな必死で頑張ってる。北見くんの頑張りに、皆、応えようとしてるんだよ。それって、今まで北見くんの背中を見てきたからだと思う」
先生はそう言って、俺の頭を撫でてくれた。
「1人じゃないんだよ。皆がいる。私もいるから」
俺は、先生の優しさに、今まで気負いしていた心が癒やされて、涙が止まらなかった。
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