卒業式の告白を叶えたい元教え子に、こじらせ先生は溺愛される~再会は深愛の始まり
「先生・・・ハンバーグ落ちるぞ」
「わっ!」
落ちそうになったハンバーグを慌てて口に入れた。
「何でそんなに可愛いんだか」
北見くんの一つ一つの言葉と、優しく微笑む顔を見て、私はときめいていた。

「まだ時間あるなぁ。先生、映画見に行こうか」
「うん、そうだね。久々だよ。どんなのがあるんだろう」
上映されている映画と時間を確認して、直ぐに観れる映画を探した。
「先生、あれしかないけど、いいよね?」
あ、あれは・・・
死霊のなんたらというやつじゃない・・・
「北見くん・・・あの頃の私、覚えてるよね」
「あぁ、お化け系が苦手で、恐怖のあまり、叫ぶわ、喚くわ、だよな」
「そ、それなのに、あれ観るの?」
想像するだけで、身震いする。
「だって、あとはアニメだから・・・」
「や、やっぱり映画じゃなくて、お店ブラブラしてから、バスケしに行こ」
私は、北見くんの腕を引っ張って、その場から離れた。
「ちぇっ。俺、先生に抱きつかれるかと思って楽しみにしてたのに」
「もう、からかわないで!」
北見くんの腕を叩こうとすると、手首を掴まれた。
「ごめんね、まだこんなに怖がると思ってなかったから」
私の手を握って、
「じゃあ、少しブラブラしよっか」
そう言って、手を繋いだまま歩き出した。
大きな手に包まれて、昔もこんな風に手をつないで、安心させてくれていた。
今も変わらない優しさの北見くんに、私は胸が熱くなった。

「そろそろ、バスケしに行こうか。駐車場に行って、ボール取ってくるよ」
「じゃあ、ここで待ってる」
北見くんの背中を見送って、座って待ってようと、ベンチの方へ向かっていた。
もう1度北見くんの方を見ると、何故かこっちに引き返して来てる。
「どうしたの?」
「あぁ・・・奈菜先生、連れて行かれたら困るから、やっぱ一緒に行こうか」
北見くんは、私の肩を抱いて歩きだした。
< 22 / 78 >

この作品をシェア

pagetop