卒業式の告白を叶えたい元教え子に、こじらせ先生は溺愛される~再会は深愛の始まり
私は気になって、ふと自分が座ろうとしたベンチの方を見ると、2人の男性が立っていて、きょろきょろと見渡し、女性が1人で歩いていると声を掛けていた。
北見くん、心配してくれて、引き返して来たんだ。
北見くんの優しさは、昔も今も変わらない。
昔は気付かなかったことが、今になって身に沁みて分かる。

バスケコートがある施設は広く、1面コートの他に、3on3が出来るコートがいくつもある。
バスケをする人だけでなく、他の運動をしたりする人もいた。
いくつかコートが空いていて、2人だけでシューティングが出来た。
「わっ、また外れた!もぉーっ!」
「よしっ!今日の俺、調子いいわ」
私は久々のバスケで、なかなかシュートが入らないけど、北見くんは何度も入っている。
「本当に全然やってなかったの?密かに練習してたんじゃない?」
「ほんとに久しぶりだって。先生が、勘鈍っただけなんじゃない?」
「ふんっ、勘が戻れば、北見くんには負けないわよ」
「じゃあ、頑張ってよ」
北見くんは笑いながら、レッグスルーしていた。
あの態度。絶対バカにしてる・・・
もぉーっ!悔しい!

休憩しながら、2人でパスをしたり、ランニングシュートしたりと、時間はあっという間に過ぎていった。
「なぁ先生、最後に勝負しようよ」
「勝負?」
「3分間で俺を抜いて、ここのライン超したら先生の勝ち。昔、皆とやってたから、出来るでしょ?」
「うん。でも、北見くんに勝てたことないけど・・・」
「俺はバスケ久しぶりだし、今日が俺に対する初勝利になるかもよ」
教師の頃も男バスの生徒の相手してたし、辞めてからしばらくは、サークルでもしていた。
それに、だいぶ勘も戻ったし・・・
「うーん、分かった。やるよ」
北見くんは大きいから、左右に振ったら抜けるかも。
「負けたら、勝った人の言うこと聞く事。いい?」
「何でもいいってこと?」
「あぁ、絶対服従だからな」
「OK。北見くん、負けたって知らないよ」
「あっ、そうだ。手、抜こうか?それかハンデいる?」
「いらない!もぉー怒った。絶対勝つ!」
「ははっ。ムキになった顔も可愛いね。じゃあ始めるよ。よーい・・・スタート!」
いよいよ勝負をかけたゲームが始まり、携帯のストップウォッチが動き出した。
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