卒業式の告白を叶えたい元教え子に、こじらせ先生は溺愛される~再会は深愛の始まり
何度も抜こうとしたけど、1歩踏み出されて、越えることが出来ない。
「もぉーっ!」
「惜しいなぁ、頑張って」
北見くんは余裕の笑みを浮かべ、私の行く手を阻んでいる。
しばらくコートを動き回って、チャンスが来た。
右に行くと見せかけて、左に抜いたとき、抜けた!と思った瞬間、
ピピッ、ピピッ・・・・・・
携帯のストップウォッチが、3分の終了を知らせた。
「よしっ!俺の勝ち」
「あぁーっ、もう少しだったのに」
「じゃあ、奈菜先生は俺の言うこと聞く、でいいよね?」
「仕方ない。わかったよ。何がいい?」
「あとで言うわ」
そう言って、近くにあった自動販売機でスポーツドリンクを買っていた。
「はい、先生」
「ありがとう!あぁ、疲れたぁ」
私は、北見くんがくれたドリンクを飲んでいた。
「先生、俺も飲みたい」
「ごめん、口付けちゃった」
「いいよ。頂戴」
そう言って、私の手から取って飲んでいた。
北見くんは何とも思わないのかな。
間接キスなのに・・・
私、北見くんの行動と言葉を凄く意識してる。
「先生、ちょっと海辺歩こうよ」
夢中になって分からなかったけど、気がついたら夕陽が西の空を照らしていた。
「綺麗だね。久々に夕陽見たよ」
「俺も」
2人は誰も居ない砂浜で、夕陽を見ていた。
「先生、勝負のご褒美だけど・・・」
「そうだったね。何がいい?」
「ほんとに何でもいいんだよな」
「勝負の約束だからね、いいよ。でも、お金が足りる範囲にしてよ」
「あぁ、大丈夫。ご褒美は、先生の唇だから」
「えっ?」
北見くんは私の前に立ち、私の顎を上に向けた。
北見くんにじっと見つめられて、身動き出来ない。
その瞳の奥からは、熱を感じる。
恥ずかしくて思わず、目線を逸らした。
「先生、俺を見て」
私はゆっくりと北見くんの目を見ると、優しく微笑む北見くんを見て、身体の芯が熱くなって来た。
ゆっくり顔が近づいてくる。
息の仕方を忘れるくらいに動揺して、鼓動は早く打ち、体中が熱い。
キスされる…
そう思った時、北見くんが止まって、私を抱きしめた。
「やっぱ、こっちでいい」
抱きしめられる腕は、少しずつ強くなってくる。
「北見くん・・・」
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