卒業式の告白を叶えたい元教え子に、こじらせ先生は溺愛される～再会は深愛の始まり

【最高と最悪の日】

そんな日々を過ごしていたある日、そろそろ教室を閉める準備をしていた。
「奈菜先生、ありがとうございました」
「気をつけて帰ってね」
皆を送り出した時、男性が1人入って来た。
「いらっしゃい･･･」
私は、その人を見て固まった。
「探したよ。奈菜」
「大介、どうしてここに･･･」
目の前に立っていたのは、私の元彼、そう、私を捨てた大介だった。
「一時帰国で、戻って来ることになって、奈菜の家に行ったら引っ越してたから。山坂さんに聞いたら分かるかなと思って。ここで働いてたんだね」
「奥さんと子供がいるのに、私に会いに来るなんて、無神経よ」
私は、怒りが込み上げていた。
「俺、離婚したんだ。子供が出来たら、すれ違ってばかりで。酷いことしたとは分かってるよ。でも奈菜に会いたくなったんだ」
子供が出来て結婚した奥さんと、離婚したから、二股かけて、結婚破棄した元カノに会いに来た。
この人の彼女だった、自分自身に腹が立つ。
「こんなこと、信じて貰えないかもしれないけど、俺、ずっと奈菜のこと忘れたことなかった。本当にごめん。幸せに出来なくて」
今更、何言ってるの。
私がどれだけ苦しんだと思ってるのよ。
怒りの感情が沸き起こる。
せっかく忘れかけてたのに。
「もう１度やり直せないかな」
「お願い。出て行って」
「奈菜･･･」
「出て行ってよ！」
「･･･分かった。今日は帰るよ。また、来るから」
そう言って、大介は出ていった。
思い出したくないのに、大介と過ごしていた頃や、愛し合っていた場面が脳裏によぎる。
その入れ違いに、北見くんがお店に入ってきた。
「あれ･･･さっきの人、何処かで見た気がするけど･･･」