卒業式の告白を叶えたい元教え子に、こじらせ先生は溺愛される~再会は深愛の始まり
「ううん。心配するし、帰ってから報告するよ」
「でも、念のために、報告してた方が・・・」
「きっと仕事中で忙しいだろうし。それに、ロビーで返したら、すぐ戻って来るから」
「・・・分かった。気をつけてね」
美和が心配するのをよそに、お店を出て、3時前にホテルに着いた。
中に入り、ロビーで待っていると、大介が前から歩いて来た。
「奈菜、来てくれたんだ」
「大介。これ返しに来た」
チケットを渡すと、大介は険しい顔になっていた。
「今、付き合ってる人がいるから、もう2度と会いに来ないで」
「そ、そうなの。残念だなぁ。そうだ、ニューヨークのお土産を渡したかったのに、部屋に忘れたから、一緒に来てくれる?」
「せっかくだけど、遠慮しとく。じゃあ、元気でね」
「あっ、ちょっと待って!もう会えないなら、お土産、山坂さんにも買ってきてるから、渡して欲しいんだ」
お土産なんていらない。ても、美和にっていうなら仕方ないか・・・
「分かった。じゃあ、ここで待ってるから」
「あぁ、悪いけど、俺、時間無くて。急に会議が入って、もうすぐWeb会議の時間なんだ。部屋の前まで来てくれる?」
もう少し早い時間に、待ち合わせしてくれたら良かったのに。
仕方ない。
「・・・分かった」
エレベーターで部屋の前に行き、大介は部屋の鍵を開けた。
「ここで待ってるから」
「うん」
そう返事した大介は、ドアを開けた瞬間、私の手を引っ張り、部屋の中に入れた。
「大介!何するのよ!」
「だって、こうでもしないと、話、してくれないだろ」
「勝手なこと言わないでよ!あなたは私を捨てたのよ」
「仕方なかったんだよ。相手は上司の娘だったんだから」
「そんな事、私には関係ないわよ!」
怖い。
気勢を張っているけど、大介の目が獲物を捕らえる目になっている。
助けて、耀!
携帯を取りだすと、耀からの着信を知らせる通知が表示されてた。
急いで耀にリコールすると、コール音が鳴ったか分からないくらいで、すぐに繋がった。
「助けて!耀!」
「山坂さんに聞いてそっちに向かってる。待ってろよ!」
「誰と話ししてるんだよ」
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