卒業式の告白を叶えたい元教え子に、こじらせ先生は溺愛される~再会は深愛の始まり
【香水の香りは疑惑の香り】
耀と同棲生活が始まり、私は毎日ウキウキしていた。
目が覚めたら耀が隣にいて、早く帰って来た時は、ご飯を作ってくれていた。
朝、玄関まで見送りに行くと、
「奈菜」
そう言って、私を抱きしめる。
「どうしたの?」
「ずっと、こうして奈菜を抱きしめていたい」
「はいはい。今日はご飯作って待ってるから。いってらっしゃい」
「分かった。あぁー、奈菜が傍にいるなんて、ほんと毎日が幸せだよ」
こんなやり取りをして、私を抱きしめてから、会社に出掛けた。

耀は時々、寝室の隣の部屋で、Web会議をすることがある。
同棲生活が始まってから、しばらく経ったある日の夜。
「奈菜。俺、今日10時からWeb会議してるから、先に寝てていいよ」
「うん、分かった」
夕食の片付けが終わって、寝る準備をしたあと、
「じゃあ、奈菜、おやすみ」
口づけをして、部屋に入って行った。

私はベッドに横になり、耀の声だけがする隣の部屋を気に留めず、11時頃、うとうとし始めた時、
「耀、お願いだからこっちに来てよ」
「やだよ、そっちが俺のとこに来いよ」
イヤホンマイクを外したのか、相手の声が漏れてきた。
艶っぽい声の女性。
今の会話、どう言う意味なの?
そう言えば、最近の耀、帰って来た時、女性が付ける香水の香りがする時がある。
耀に限って、そう思ってるけど、大介のことがあるから不安になる。

明くる日、お店に行ってから、美和に私の疑問を聞いてみた。
「あのね。実は最近、耀が仕事から帰った時、服に女性が付ける香水の香りが時々するんだけど、服に香りが付くって、どんな時だと思う?」
「そうだねぇ・・・香りが服に付くくらいだもんね…北見くんなら、飲みに行ったお店の綺麗なお姉さんに抱きつかれたりする時なのかなぁ?」
女性に抱きつかれた時か・・・
「どうしたの?北見くんだったら、接待であり得るじゃない」
「でも、今まで無かったの。きっとそういう場での接待もあったと思うけど、付き合ってからは場所を変えてるって」
「まぁ、奈菜に正直に言えないんじゃないの?」
「そうなのかぁ」
「聞いてみれば?」
「ううん、いい。信じてるし」
不安だけど、耀は絶対に浮気なんてしない。
そう信じていた。
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